その時はある日突然やってきたのです。
風邪ひとつ引いた事のなかった私の父が、具合が悪いと言い病院へ検査に行ったのです。
具体的な症状は、物が5重に見えとにかく目が回るというものでした。
すぐにCTをとり、脳検査をしてもらったのです。
結果は異常なし。
私達は安心しました。
しかし、その日に悲劇は起こったのです。
脳に異常がないと言われた【その日に】です。
病院から戻ってきた父は、脳に異常がないと言われたので、いつもどおり事務所で納品書を書き始めました。
しかし、その姿は私から見ても【異常】なものでした。
体が左右に揺れており、焦点が合っていない為、字が書けない。あまりにもおかしいと感じたので、仕事を代わり父には休むように伝えました。
その2時間後です。
母の悲鳴で駆け付けた私が見た父は、目が飛んでおり、口からはよだれ、意識は殆んどなく、体は麻痺している状態。その時の父の姿は、今でも忘れられません。
病名は【脳幹梗塞】。
父は、4ヵ月もの間意識が戻らなかったのです。
病院で異常がないと言われた父が、異常がないと言われたその日に倒れた事で私は思いました。完全に人任せにしてはいけない、自分の体は自分が一番知るべきだと。そして、自分で自分を管理しなくてはいけないんだと。
それでは、なぜ父は58歳という若さで【脳幹梗塞】になったのでしょうか。
それは、間違いなくストレスが原因だったのです。
父は、あまり人に相談するタイプではなかったので、1人で悩んでいたのです。
毎月200万円以上赤字になっている会社の経営を。
このストレスの原因に、私は全く気付いていませんでした。
そして、そのストレスは私にバトンタッチされたのです。
このストレスの重圧はかなりのものでした。
眠れない夜は1度や2度などではなく、うなされる日々が続きました。
私が受け継いだ「有限会社半井鍍金工業所」は、昭和35年に祖父が設立した電気鍍金業で、主に車部品、エレベータ部品、電子機器等の鉄製品に錆止めメッキを行っていました。
しかし、仕事は忙しいのに、収入より支出が多い。
サラリーマン経験しかなかった当時の私には、働いているのに赤字になる事がまったく理解出来ませんでした。
そして、毎月の支払いはまったなしでやってくるのです。
お金に追い回される毎日。本当に嫌なものです。
私は、一大決心のもと売上を上げる為、苦手な飛び込み営業に出かけたのです。
結果は惨敗。
こちらから何の戦略もなく飛び込み営業にいったのでは、しかも、若造の社長が来たのでは足元を見られ、相手の言いなりになってしまう。
つまり、相手のホームであり、こちらは完全なアウェー状態だったのです。
その上、私は【極度の内気】であり、【人見知りが激しい性格】な為、営業という仕事をする事で、更にストレスが溜まっていったのです。
そこで私は考えました。
こちらのホームにお客様を引っ張り込む方法はないか。
お客様から「お願いします。」「ありがとうございました。」と言われる商売って何だろうと。
一般的に医者や弁護士など、いわゆる先生と呼ばれる方々はお客様からこのような事を言われます。かといって、今から簡単になれる職業ではありません。
では、この方々の共通点は何だろう。
ここで、私は一つのヒントを見つけたのです。
お客様から、つまり、お金を払う側からわざわざ訪ねて来る仕事だという事です。
ここからが、本当の戦いの始まりでした。
今までのやり方では駄目だ。私はそう感じ、今までの考え方を変え、自分らしさを追及しようと思ったのです。
まずは、自己分析から始めました。
あなたも自分を理解する為、自己分析をしてみて下さい。
私の場合はこんな感じです。
・性格…内気、内向的
・やりたくない事…営業、お客様のご機嫌取り
・苦手な事…人とのコミュニケーション、お酒の席
・得意な事…想像、企画
・好きな事…格闘技観戦
・今の仕事…メッキ職人(金属の錆止め)
では、私のやりたい事だけをして、しかも需要があり、やりたくない事をやらなくて済む仕事。それでいて、現在の設備を利用し、出来るだけ支出が少なく済む事とは何かを考えたのです。
来る日も来る日もストレスと戦いながら考えだした答え。
それが、【メッキ工房NAKARAI】だったのです。
営業や人とのコミュニケーションにストレスを感じていた私は、
「ホームページを制作し、インターネットを利用して全国の個人のお客様から直接仕事を受注し、バイク部品にメッキをする。」
という事を考えました。
バイク部品へのメッキならば、個人のお客様を相手に仕事が出来る。しかも、この方法ならば、新たなストレスを感じる事はありません。
なぜなら、ホームページが私の代わりに営業をしてくれますし、コミュニケーションはメールで行ない、商品の受発注は宅急便を利用するので、人と直接会わなくても良いからです。
【史上“最鏡”のメッキ集団】このキャッチフレーズはすぐに決まりました。
響きが良く、インパクトがあり、文字を見るだけでイメージがしやすいと思いませんか。
人に響き、イメージが出来るキャッチフレーズが大切です。
自分から売り込みに行くのではなく、興味のある顧客が自ら手を挙げる仕組み、いわゆる「ダイレクト・レスポンス・マーケティング」を行う事によってセールスが下手な人でも、ストレスなく顧客を獲得する事が出来るのです。
このようにインターネットを使えば、今までは大手企業が【独占】していた情報発信を個人レベルで【発信】出来るのです。
ちなみに、私が作ったホームページのアクセス数は、
メッキ工房NAKARAIは、1日に約500件
さびとり健康法は、1日に約5000件です。
インターネットの普及がもたらしてくれた【恩恵】です。
私は、会社経営において「小よく大を制す」(個人企業が大企業と互角に戦う)事を、インターネットやホームページを利用して真剣に考えています。
メッキしたバイク部品を写真に撮り、史上“最鏡”のメッキ集団のキャッチフレーズとともに最初の広告を打ちました。
たったそれだけで、反響は凄いものでした。そして、すぐに仕事が決まったのです。
私の読みは当たり、需要がある事がはっきりとわかりました。
